「おーい、ゆみ。こっちだぞ〜!」
「あ、かいとくん。ごめんごめん。」
本日は、家庭科の調理実習!
みんなでオリジナルケーキを作るんだってさ!
体に悪いから、一口しか食べさせてはくれないんだけどね……
「おーい、くららもこっちだぞ〜!」
「おいでーくららちゃーん!」
「え、この班だったっけ!?」
「そうだぞくらら。他の班いきやがって。」
「え、ご、ごめん……」
「いけいけくららちゃんっ!」
私は小声で呟くと、かいとくんが何か話しかけてきた。
「なあ、ゆみ。今日さ、六年の先輩と登校してなかった?」
ぎゃっ。その話は聞きたくもありませぬ……
「翔(しょう)先輩が、勝手に私と登校をはじめて……」
「嫌だったか?」
「うーん……意外と、そうでもなかったかも……?」
え……
私って、そう思ってたの!?
「そ、そうか……なあ、あの……」
「かいと、こっちの生クリーム泡だててくれる?」
かいとくんがなにか言いかけたところで、くららちゃんがすかさず話す!
「すまん。ちょっとゆみと話がしたい。」
は!?男女二人きりとか恥ずかしくて無理ですよ!?
「あ、うん、そっか……」
くららちゃん、戸惑ちゃった。
「か、かいとくん。くららちゃんも嫌がってるよ!?ね、だからまた今度にしよう!?」
「なんでくららが嫌がる……?今しか、チャンスはないと思ってる。だから、今にしてくれ。先生もいないし、抜け出すのにチャンスだ!」
「また今度ってダメ!?ほら、中休みとか昼休みとか、あるじゃん!この家庭科終わったら、中休みだよ!お願い!」
「うっ……そうか……でも、今決意したところなんだけどなあ……」
「行けばいいじゃん。」
「え……くららちゃん……?」
「私のことなんか気にせず、行っちゃっていいよ!」
そう言って、笑顔を見せる。
「ゆみ、来て。」
「か、かいとくん……」
私は、かいとくんに連れられるまま、廊下まで来た。
ね、な、何されるの!?
私、なんか悪いことしたかな!?
「ごめん、いきなり連れてきちゃって……」
「い、いいけど……くららちゃんの様子がおかしいよ……」
「なんで、くららが……?」
「あ、いいのいいの!大丈夫だから……」
ほんとは大丈夫なんかじゃない。
かいとくんのことが好きなのに、私を連れて行って、嫌な思いをしてるはず……
「そうか……言ってもいいか?」
「な、何を……?」
「俺……お前のこと、好きだ……」
………え!?
い、いくらなんでも、すすす好きって―――おかしいよ!
「え、ごめん、私が誤解してるんだよね、うん、そうそう。」
「違う。」
「え……」
うそ!?じゃあ、かいとくんは……
「私のこと、れ、れれれ恋愛としてスキッテコトデスカ!?」
「そ、そうだ。」
「ご、ごめん。ちょっと考えさせて……」
「そうか……まあいい。戻ろうか。」
そう言って、私の手をひきながら家庭科室へと向かう彼。
なんで、なんでこんな私のことを好きになったのだろうか……
「会った時から、可愛いなって、思ってた。弱そうなところも、俺が守ってやりたいって思ってた。俺は、会った時からずっと、好きだったんだよ……」
「かいとくん……」
私、告白されたのははじめてだった。
「く、くららちゃんはね……か、かいとくんのこと……す……」
「どうした?」
「やっぱり、なんでもない。」
言ったら、ダメな気がする。
「あ、ゆみちゃん、おかえり!かいとも!」
くららちゃんの顔を見ると、胸がズキズキする……
「ゆみちゃん。うち、かいとのこと諦める。好きになっちゃって、いいよ!」
「く、くららちゃん……」
なんと察しがいい子なんだ……
私は、どうすれば……