「山...」

私が名前を呼びかけた時、私の声を遮るように大きい声で、

「私、山本君のことが好きなの!!」

と聞こえた。

頭を殴られたような衝撃が襲った。

公開告白だとキャーキャー騒ぎ立ている卒業生達の声も聞こえない。

相手の女の子は顔を真っ赤にして山本君を見つめている。

山本君は頬を赤く染め、戸惑いながらも女の子の手を握った。

周りの人達が歓声を上げる。

私はあまりの衝撃に理解が追いつかなかった。

鈴が心配した顔で私に駆け寄ってくる。

「菜乃...」

鈴が何かを言いかけたけど私はそれを遮った。

「鈴...私...失恋したんだね...」

この言葉しか出てこない。

私より山本君に告白した子の方が勇気があった。

山本君への想いの大きさが私と全然違ったんだろう。

涙も出ない。

あっけなく終わった私の初恋...

鈴は黙って私を抱きしめてくれた。

もう恋なんかできないや-