レンズのむこう

今、私の顔の両サイドには会長の手が置かれている。


安い小説のような展開に冷めた自分と、こんなことが現実であるのかと焦っている自分が正常な脳の作動をストップさせてしまって

この腕から逃れる方法を見失っていた。


ただ目の前にある会長の顔を睨みつけることしかできない。


その様子を楽しそうに会長は眺めて耳元に口を寄せてきて囁いた。


「みことちゃんに改めてすごく興味が湧いたよ」


「いきなり何をっ!!」


吠えた私を無視して会長は妖しい笑顔でそのまま続ける。


「ねえ。みことちゃん?君は男を知ってる?」


その含まれた意味に気づき私はカッとして手をあげた。