すると、今までいたずらっぽく笑っていた皆上くんが急にまじめな顔つきになって、
「……委員長も、そういった気持ちになるときあるんだな」
 と、声を落とした。
「ていうか、その委員長っていうの、学校の外ではやめてくれない?」
「なんで? だって、うちのクラス委員長だろ?」
「そう言われるのが恥ずかしいの。ちゃんと、杉野 碧葉(すぎの あおば)って名前があるんだから」
「へぇ、碧葉っていうんだ。キレイな名前だな」
 そう言われて、一瞬、心臓がとくっと鳴った。
「どうしたの? 今度はちゃんと名前呼んだのに」
 ふふっ、と皆上くんが目を細める。
 自分でもどうしたんだろう。なんでなのか分からない。
 心がざわついてくる。
「帰りのバスがそろそろ来るから、私もう出るね」
 急いで席を立とうとすると、
「待って、碧葉」
 と皆上くんに呼び止められた。
「なに?」
 私、なにか忘れ物したかな?
「オレ、最近はいつもこの時間にここ寄ってるんで。また来週会おうよ。碧葉が思いきり羽のばせるようつき合うから」
 えっ? また来週もここで……!?