「心春は好きな人いないの?」

一緒に帰り始めた時、朔歩に聞かれた。いきなりだったから心臓が飛び出そうだ。

「え、いや、うーん、朔歩は泉さんでしょ」

誤魔化し、朔歩の話に変えた。

「…俺が好きなのははるちゃんかな」

真剣な顔で言う朔歩に落ち込んでしまう。

「そー、だよね」

落ち込んでいることを隠しながら言うが、バレていそう。

「覚えてない?心春のことはるちゃんって呼んでたの」

今日は沢山驚く日だ。朔歩が何を言いたいか分からない。

「心春のことはるちゃんって呼んでた時から好きだったから。心春全然気づかないし、嫉妬してくれないかなって…ごめん」

なになになに。頭の整理が追いつかないよ。

「俺が好きなのは心春です」

…!ずっと泉さんのことを好きだと思って勝手に振られた気になっていたのに。

「朔歩のばか」

謝る朔歩に軽いパンチに食らわした。私も素直になろう。

「…でも好き」