「朔歩ー、教科書貸して」

隣のクラスに乗り込み幼なじみに声をかける。

「またかよ心春。はい」

いじわるな笑顔で朔歩は教科書を貸してくれる。

「ありがとう、そーいえばさ」

教科書は借りれたけど、まだ話を続けた。もう少し朔歩と話したい。

「あ、波瑠ちゃんだ」

朔歩の廊下を見ながら言った声にドキッとする。波瑠ちゃんと言うのは、朔歩が今夢中になっている学年一可愛い泉 波瑠さん。

「可愛いよね、泉さん」

私は、朔歩が泉さんのことが好きなのは知ってる。ずっと前から朔歩の事見てたから。

「あー、うん」

小さめの声で朔歩が言う。気まづそうに、いや、照れているのか。

「今日一緒に帰らん?」

突然朔歩にそう言われてびっくりした。時々一緒に帰ってるけど、朔歩が誘ってくれるのは珍しい。「いいよ」と返事をして自分の教室に戻る。