それは、ほんの出来心だったの。


体育の授業が終わると体育館用具室にサッカーボールを片付けに行く岳の後を気づかれないようにこっそり着いて行った。


今朝から彼とまだ一度も話してない。


彼が1人で体育館用具室に入ったら、
後ろから軽く背中を押してワッて大きな声を出してびっくりさせてやろうと思った。


なぜそんなことをするかって、別に深い意味はない。


クールな表情で歩いている彼にちょっかいを出してポーカーフェイスを崩したら面白いかなってイタズラ心だった。


私ってついつい彼にちょっかいをかけたくなるんだよね。


彼が体育館用具室に入って行ったのを確認して、足音をたてないように中に滑りこんだ。


彼の背後からそっと近づき両手を近づける。


ふふっ、全然気がついてないみたい。


「ワッ」


おっきな声と同時にトンと軽く彼の背を押した……つもりだった。