なぜか彼氏が2人できちゃいました……。

嫌だったからじゃない、あることに気がついたからだ。


「どうして?」


「目を閉じて、美緒」


「どうして、こんなことするの?」


驚きと落胆が入り混じった問いかけ。


彼はお構いなしに顔を近づけキスをしようとしてきた。


「そら……くん?」


彼は岳ではなく弟の空くんに間違いないと思った。


2人はそっくりだし、演技だって以前よりもずっと上手くなっている。


だけど、違うと気がついた。


ここ最近になってそれぞれを知ろうとしたおかげで、微妙な違いに気づけたんだ。


それに私の知っている岳は強引にキスしたりしない、出来ない人だ。


もうほんの少しで唇が触れ合う寸前で、彼は動きを止めた。


「なんだ、バレてんだ?」


「空くん、なんでこんなことするの?」


今更、岳のフリをして私を騙すなんて悪ふざけが過ぎる。