翌朝、私は1人で登校した。


誰よりも早く教室に着いて、自分の席で手紙を書くために。


だけど白い便箋に岳へ、とだけ書いて手が止まってしまう。


話しかけられなかったから手紙にしようと思ったけどなんて書いたらいいかわからなかったんだ。


もうダメだな私って。何がしたいんだろ。


ため息をついて項垂れていたら教室の前の扉がガラッと開いた。


「あ」


背が高くて制服をキチッと着ている男子。


その人はなんと岳だった。


だけど、彼の姿を見たら条件反射のように下を向いてしまう。


その場に固まったまま動けないでいるとコツコツと足音が近づいてきた。


足音は私の前で止まり低い声が降ってきた。


「おはよう」


え?普通に挨拶してくれたの?


パッと顔をあげると照れ臭そうに笑っている彼と目があった。