翌週の月曜日の放課後、岳が日直で職員室に行くというので正門前で待っていたら先に空くんがやってきた。


「美緒、昨日はごめんね、会えなくて」


「ううん、お仕事じゃ仕方がないもんね」


昨日は彼が撮影のお仕事が入っていたからデートは無しだった。


「あーあ、でも1日無駄にしちゃったよ。あと1週間しかないし」


残念そうに言ってため息をついた。


「お付き合いのこと?」


「うん。俺、正直言うと焦ってるんだ。このままだと……」


彼はいったん言葉を切りさりげなく手を繋いできた。


こういうの自然に出来ちゃうのが凄い。


だけど、3人で手を繋ぐ時よりも緊張してしまうよ。


「岳、遅いね……」


彼から視線をはずしながらぽつりと言った。


「美緒は兄貴が……いやなんでもない」