晩餐を始めようか

料理が完成したのは、午後6時を回った頃だった。
今日はなんだか1日色んな出来事がありすぎたな、とソファーに座った瞬間、どっと疲れが出た気がする。
裕斗のことは、ちゃんと堅治に報告した方がいいだろうか。
だけど、なんて説明をすればいい?
裕斗は元好きな人、であって元彼ではない。
私のことを好きだったわけでもなく、ただ私の一方的な片想いだっただけ。
高校は私とも、もちろん堅治とも違うし、会社も大学も違う。
関係は、なんて聞かれたってただの友達にすぎない。
私が好きなのは堅治だし、今日裕斗に気持ちが揺らいだわけじゃない。
何もないのに、報告する必要があるのか。
逆に、何もないまま報告する方がかえって不審に思われる気もする。
私が報告される立場だったら、結局何が言いたかったのかわからないだろう。
余計にややこしくなる気がする。
「ただいまー。」
その時、堅治の声が聞こえた。