それから私たちは、今まで話してこなかった分のプロレスの話をした。
裕斗と話さなくなってからもプロレスを観ることはやめなかった。
最初は裕斗と話す口実で見始めていたのが、だんだん私自身が好きになっていくことがわかった。
堅治はそんな私の変わった趣味を侮辱するわけでも興味を持つわけでもなく、私の部屋にあるプロレスの雑誌や、毎週金曜日に放送されるプロレス中継を見ても、何も言ってこない。
だから、私はいつの間にかプロレスを観ることが趣味になっていたように思う。
喫茶店から出て、この駅から堅治の家の最寄りの駅に乗ろうと改札を通った。
「結衣!」
名前を呼ばれて振り返ると、裕斗がほいっと私に何かを投げた。
予告もなかったので危うく床にキャッチに失敗するところだった。
私の掌には、以前私が裕斗に好きだと話したプロレスラーのキーホルダーだった。
「また話そうな!」
そうやってニカッと笑った彼の顔は中学の時にずっと追いかけていた笑顔と変わらなかった。
私も笑顔でうなづきながらも、心の片隅の罪悪感が、消えなかった。
裕斗と話さなくなってからもプロレスを観ることはやめなかった。
最初は裕斗と話す口実で見始めていたのが、だんだん私自身が好きになっていくことがわかった。
堅治はそんな私の変わった趣味を侮辱するわけでも興味を持つわけでもなく、私の部屋にあるプロレスの雑誌や、毎週金曜日に放送されるプロレス中継を見ても、何も言ってこない。
だから、私はいつの間にかプロレスを観ることが趣味になっていたように思う。
喫茶店から出て、この駅から堅治の家の最寄りの駅に乗ろうと改札を通った。
「結衣!」
名前を呼ばれて振り返ると、裕斗がほいっと私に何かを投げた。
予告もなかったので危うく床にキャッチに失敗するところだった。
私の掌には、以前私が裕斗に好きだと話したプロレスラーのキーホルダーだった。
「また話そうな!」
そうやってニカッと笑った彼の顔は中学の時にずっと追いかけていた笑顔と変わらなかった。
私も笑顔でうなづきながらも、心の片隅の罪悪感が、消えなかった。

