夕立に降られた帰り道、死体を見つけた。

 いや、死んでない。少しだけれど、まだ息がある。

 荷物の多さを見るに彼は旅人で、遭難してしまったのだろう。

 まだ間に合うだろうか。

 相手は成人男性、この肉体を回復させるにはそれなりに力を使う。

 森の中に、私の姿が現れる。姿を隠すまじないを解いたのだ。

 まじないなんかじゃなく、本当に消えたいといつも思っていた。

 この人が助かって私が消えられるなら、むしろラッキーではないか。

 私は青年を仰向けに寝かせると、心臓に手を置く。

 そして自分の生命力を、一気に注ぎ込んだ──。