クローン人間の僕と人間の彼女

夢…か…。


俺は目が覚めた事を伝える為、ナースコールのボタンを押す。


「目が覚めました?」

「…はい」

「脈拍も血圧も…全て安定してますね。大丈夫でしょう。何かあったら、すぐ呼んで下さい」

「……」

「どうかされましたか?」

「…誰か来ませんでしたか?」

「来てないですよ」

「そう…ですか…」


さっき見た夢のせいだ。
今日、朋が来ても来なくても、どっちでもいい…」


どうせ、明日来るよ…。




でも朋は…入院中、一度も顔を出さなかった。

そして貯金残高も予想通り、500万を切った…。



ー退院当日


近藤が退院祝いをしに、うちに来た。
退院祝いというより、ただ飲みたいだけだ…。


「あれ?功太は…?」


ビールを飲み始めてすぐに、近藤が聞いた。


「あぁ、何か今日は用事があるらしくて」

「珍しいな。じゃあ飲むのは俺一人か」


俺は一応病み上がり?だから、酒は飲まない。


「で、土地の方は上手く行きそうか?」

「さぁ……」

「まぁ、そんな焦らなくていいよ。後は土地だけだ」


いつもは1番焦ってる近藤が優しく言った。


「まぁ、なんとかやりますよ」


俺は無理して笑う。