クローン人間の僕と人間の彼女

「勿論。行きたい所、考えとけよ?」

「うん!」


朋は嬉しそうな顔をして、家の中へと入って行く。

朋と…
余り深く関わらない方がいいかもしれない。

俺は昔、一度だけ人間と恋に落ちた。

お互い好きで、好きで…。


彼女は言ったんだ。


「貴方がクローンでも関係ないの。いつか、貴方の子供が欲しい」


俺はその言葉を信じ、舞い上がった…。

でも、あの夜。
初めて彼女と過ごそうとした、あの夜…。

俺の背中の刻印を見て、彼女は言った。


「……ごめんなさい」


そう泣きながら…。

クローンと知っていても、あの刻印は衝撃的らしく…。

俺は彼女を責める事なんて、出来なかった。

それ以来、人間の
女と深く関わるのはやめた。

自分を守る為に…。

その後彼女は人間の男と結婚したと、風の噂で聞いた。

当たり前か…。

あれからちょうど10年か。
早いな。

けど、もうあんな思いはしたくない。

朋と深入りしないように…。

土地の事だけを考えるんだ。