クローン人間の僕と人間の彼女

「マジで?」

「うん。久し振りだから、歩きたい」

「了解~」


病み上がり間もない俺は、正直少しヘトヘトだった。


でも、今日は…
朋の我儘に付き合うか。


「久し振りって、どれくらい振り?」

「ん~、美容室入れなかったら5年…かな」

「勿体ねぇな…」

「…勿体ない?」

「ああ。いつ死ぬか分かんねぇのに」

「…死にたいと思った事ある?」

「…ずっと思ってたよ」

「ふ~ん…。今は?」

「…今はやる事があるから死ねない。でも、それが終わればいつ死んでもいいよ」

「何か言ってる事、滅茶苦茶ね」


朋はそう言って笑った。


「朋は?死にたいと思った事あんの?」

「…無いよ。だから反抗もする。死にたかったら…どうでも良かったら、すべ得手がどうでも良いと思うんじゃない?」

「あー…、奥さんの事とか?朋は朋の人生があるんだから、親がどうとかより…自分が幸せになれる方法を探せばいいんだよ」

「……」

「まぁ、そう簡単に割り切れるもんじゃないか」


その後も朋はずっと黙っていて、俺も何も喋らないまま、朋の家に着いた。


「今日は帰るよ」

「…明日も来てくれる?」