クローン人間の僕と人間の彼女

俺は一人、朋の部屋に向かう。

ーコンコン


「……」

「朋、開けるよ?」

「帰ってっ!」


ーガチャ


俺は朋の声を無視して、ドアを開ける。

部屋に入りドアを閉めると、朋の方に歩いて行った。


「来ないでよ!何しに来たの?!」


朋は次から次へと、俺に向けて物を投げる。

本当に気の強い女だ…。

そう思うと、少し笑えた。


「何笑ってんの…?」


朋は不思議そうな顔をして言った。


「別に」


朋の姿を上から下までチェックする。


「よし、大丈夫だな」

「…何が?」

「行くぞっ!」

「ちょっと…何なのよっ!」


俺は嫌がる朋を無理矢理引っ張って、部屋を出た。


「朋さんとちょっと出掛けて来ます」


伊集院にそう言い残し、玄関を出る。


朋は嫌がっていたけど、外に出ると人目が気になるのか、大人しくなった。


「何処に行きたい?」

「あのさぁ…」

「何処でも連れってってやるよ」


朋はいきなり止まって、無理矢理繋いでいた俺の手を引っ張る。


「何だよ?」

「…私が今一番行きたい所はね…。靴屋さんよ」


そう言って朋は思いきり俺を睨んだ。