クローン人間の僕と人間の彼女

俺は朋を騙そうとした。
けど俺は朋を傷付ける為じゃない。

仲間を助ける為だ!

あんな女、まっぴらゴメンだ。


でも…俺は……。
このまま諦める訳にはいかなかった。


伊集院に全ての事情を話してみるか…。


でも約束も果たせないまま、都合のいい話だよな…。

朋に話しても…
無理だろう。

一番いいのは、やっぱり朋を変えて、伊集院に土地を譲って貰う事だ…。


俺に出来るのか?


いや、やるしかないんだ。


あの女の腐った根性と一緒に、変えてやるよ。


-ピンポン


「あっ、ごめんなさい。朋が会いたくないって…」

「俺、昨日少し言い過ぎたんです…。会えなくてもいいから、上がらせて貰ってもいいですか?」

「…どうぞ」


玄関に向かう途中に見える朋の部屋は、カーテンを閉めてあった。

でも確かに見える、朋のシルエットが…。


「お邪魔します」

「朋…昨日から部屋に籠ったきり、出て来ないのよ…」


伊集院は困った顔で言う。


「分かりました。とりあえず部屋の前迄行ってみます。部屋の鍵は?」

「付いてないわ」

「なら良かった」