クローン人間の僕と人間の彼女

「それって…健二の事?」


俺は思わず聞いてしまった。


「名前は知らない。けど貴方がその人のクローンよっ!」


朋は俺を睨みつけた。

朋の父親の事なんて聞かなきゃ良かった…。

朋が俺を好きになる前に、俺への憎しみを強めただけだ…。

俺は健二じゃない。
でも朋にとって、健二も俺も同じなんだ…。


「それをいつ知った?」

「……20歳の…成人式の時、お父さんが会いに来て、出て行った理由を聞いたら話してくれたわ。それでお母さんの部屋に入って写真を探したの」

「……」

「だから貴方をこの部屋から見た時、ビックリした。あの写真の人にそっくりなんだもん」

「……」

「お父さんを出て行かせるような事をした、お母さんを私は絶対許せない。…だから私はお母さんを傷つける為に、貴方を利用するの」


この女…。
何言ってんだ?

俺は朋が言ってる事に、苛立ちを感じた。


「だったらよぉ、母親に直接ぶつければいいだろ?!ネチネチやってんなよ?顔は綺麗だけど、最低だなっ!お前みたいな女…二度と関わるかっ!」


呆然とする朋を置いて、俺は伊集院の家を出た。