クローン人間の僕と人間の彼女

「僕と居て楽しい?」

「楽しい訳ないじゃない。貴方なんてクローンの中でも特に嫌いよ」

「じゃあ、何で僕とだったら…なんて言ったんだ?」

「貴方じゃないと意味が無いからよ」

「……?意味?」

「今日は帰って」

「あぁ」


俺が部屋から出ると、朋は又、俺の腕に絡みつく。


「お母さん、森本さんが帰るわよ」


伊集院が出て来ると、朋は又冷たく笑った。


「ちょっと、一ケ月くらい来れませんが、必ず又来ます」

「……そう」

「この人、病気らしいわよ」


朋が嬉しそうに言う。


「病…気…?」


伊集院は呆然として言った。


「いや、大した事は無いので大丈夫です」


慌てて俺は言った。

伊集院が健二の時に味わった辛い思いを、思い出させたくない…。


「今度は死なないといいわね…お母さん」

「!?」


朋はそう言い残し、部屋に戻り、俺も伊集院の家を後にした。


”今度は死なないといいわね”


朋は健二の事を知っているのか?

そうだとすれば、朋が言っている事も分かる気がする。


でも健二が死んだ後に朋は生まれたはずだ…。

どっちにしろ、厄介な事になりそうだ。