クローン人間の僕と人間の彼女

ーピンポン


「どうぞ、上がって」


俺は家に入る。
すると、伊集院と朋が俺を出迎えた。


朋はいきなり俺の腕に手を絡める。

何を考えているのか、俺にはサッパリ分からなかった。


「今日は私の部屋で少し話しましょ?いいわよね、お母さん」

「……えぇ」

「さっ、早く行きましょ?」


俺は朋の部屋に強引に連れて行かれた。

朋は部屋に入ると、さっき迄の態度とは一変する。


「適当に座って」


つまらなそうな顔をして、黙り込んだ。

朋を元に戻す約束はしたけど、どうすればいいんだ……?


「……朋ちゃんは、何処か行きたい所はあるの?」

「別に無いわ」

「じゃあ、好きな食べ物は?」

「特に無いけど」


俺は必死に朋との共通点を探そうとするが、話が続かない…。

「あっ、俺、明日病院の検査でそのまま入院になると思うから、多分一ケ月くらい来られないんだ」

「何処か悪いの?」

「多分ね」

「……多分?変なの。けど…つまんないな」

「えっ?」

「別に貴方に興味がある訳じゃないわ。私、クローンなんて好きじゃないもの」

「……」


そして朋は又黙ってしまった。
時間だけが進んでいく。