ー翌日


「じゃあ、行くか!」


俺と近藤は伊集院の家に向かう。

街を少し外れた所に、伊集院の家があった。


「でかい家だな…」

「あぁ。奥さんの実家が地主らしい」

「ふ~ん…」


健二が生きていたら、この豪邸に健二が住んでいたのか…。


ーピンポン


「はい」


カメラ付きのインターホン越しに、健二の元婚約者らしき人の声が聞こえる。


「近藤です。今日もお話しいいですか?」

「あー…。いいけど、後ろの方は誰かしら?」

「友人です」

「…いいわ。入って」


同時に門が開く。


「仲いいの?」

「通ってるうちにな…」


玄関に向かって行くと、二階の窓から20代くらいの女の姿が見えた。

色白の肌と黒髪は、あの写真の女に似ている…。


「あれが娘だよ」

「話した事あんの?」

「いや。俺と伊集院の居る部屋に来た事がない。いつも、あーやって覗いているだけさ…」

「ふ~ん…」


俺達が玄関に着くと、鍵が開く音がした。


ーガチャ


「どうぞ」


現れたのは、あの写真の面影を残す、50代にはとても見えない奇麗な女の人だった。


「…健…二?」