クローン人間の僕と人間の彼女

「ちょっと待ってて!」


俺は急いでお袋の部屋に行き、小箱を探した。

タンスを全部開け、押し入れも隅から隅まで探すと、布団と布団の間に小箱を見付けた。


「おい、どうした?」

「…いや」


俺はその小箱をソッと開ける。
すると、中には一枚の写真と手紙、貯金通帳が入っていた。

俺は写真だけを取り出して、箱の蓋を閉めると、写真を近藤に見せて言った。


「伊集院さんって、こんな人?」

「……。伊集院さんは、もう50過ぎだ。でも似てるな…娘に。お前と伊集院さんの娘で撮った写真かと思ったよ」

「…娘?」

「あぁ。娘が一人居るけど、窓越しでしか見た事が無い。行くと必ず同じ部屋の窓から見ているんだ…」

「ふ~ん…」

「この写真はどうした?」

「健二だよ。健二と元婚約者の伊集院さんだ」

「じゃ、同一人物だな」

「そうみたいだな」


俺と近藤は顔を見合わせて笑った。


「じゃあ、善は急げだ!明日一緒に行くぞ?」

「勿論だ」


近藤は生き返った顔をして、帰って行った。

近藤が帰ると、俺は小箱をもう一度開けてみた。

貯金通帳を見ると、最高残高が1000万円で、俺の病気の発症と共に減っている。