クローン人間の僕と人間の彼女

「お前の事は全部調べたって言っただろ?」

「あぁ…」

「これからはお前達の力だけだ。頼んだからな」

「はい!」


親父、お袋、見ててくれ。

俺達は必ず会社を創る。
応援しててくれよな?

俺自身の為じゃなく、未来に絶望しているクローン達の為に…。

頑張るよ。

全てが上手く回り始めた気がした。

このまま上手くいけば、俺の病気がもし治らなかったとしても、俺が生きている間に会社創立は可能だろう…。

そしたら俺も死んでもいいんだ。

守る物が無くなった今、何も失うものは無い…。


ー翌日

朝早くに近藤が来た。


「融資の契約、無事に終わったぞ!建設会社も紹介して貰えそうだ」

「やったな!」

「後は…土地だな…」

「土地は紹介して貰えねぇの?」

「あぁ。実際自分の土地で大勢のクローンが働くのは嫌なんだろう。…あっ、悪りぃ…」

「いや、いいよ」

「俺的には、伊集院の土地がいいんだけどな…」

「…伊集院?」


俺はお袋の最後の言葉を思い出した。


”それから…。伊集院さんだけど、健二の婚約者だった人かもしれない…”

”…お母さんの部屋の小箱の中に、その人の写真があるから…。”