クローン人間の僕と人間の彼女

「そんな事ないわよ。会社…頑張って創るのよ?」

「あぁ…」

「それから…。伊集院さんだけど、健二の婚約者だった人かもしれない…」

「……?今はいいから…。元気になったら聞くよ」

「…お母さんの部屋の小箱の中に、その人の写真があるから…」

「だから今はそんな事はいいから!今話す必要は無いだろ?」

「今言わないと…、もう言えない気がするのよ…」

「バカ言うなよ…」


お袋は分かっていたのかもしれない…。

自分の死が目の前にある事を…。

それが、俺とお袋の最後の会話だった……。


お袋はそのまま眠り…


目を覚ます事は無かった…。


あんなに元気だったのにっ!


俺は医者に聞いた。


「母は何故こんな急に…」

「急じゃありませんよ」

「えっ?」

「半年前から…。本当は入院しないといけない状態でした…」

「何故、母を入院させてくれなかったんですか?!」


怒る俺に、医者は溜息を吐いて言った。


「入院を強制する事は出来ません…。説得はしました。でも貴方の手術費に手を付けたくないと言われたんですよ。お母さんは、自分の命より、貴方が生きられる可能性を選んだんでしょう…」