クローン人間の僕と人間の彼女

「じゃあ、他の土地にすればいいじゃね?」

「…いや、色々見て回ったけど、そこの土地が一番なんだよな。で、地主を探して見付けた迄は良かったんだけどさ…」

「そうか…」

「色々大変そうね…」


お袋はコーヒーを置き、ソファーに座る。


「そうなんですよ…。おばさん、伊集院って人と知り合いとかじゃないですよね…?」

「伊集院…?」

「知ってますか?」

「ん~、知らないでもないけど別人だと思うわ。それにもう、随分とご無沙汰してるし…」

「そうですか…」


近藤はガックリと肩を落とす。


「まぁ、土地は融資が決まってからでもいいんじゃないか?」

「そうだな…」


近藤が帰ると、俺とお袋は内職を再開させる。


山の様にある、花の部品はなかなか無くならない。


「こんな事毎日やってんの?」

「そうね」


お袋は楽しそうに花造りを続ける。


「楽しいの?」

「楽しいわ。だって、この一本一本で、けんちゃんの手術費の足しになるのよ。それで、けんちゃんの命が救えると素敵じゃない?」

「ふ~ん…」


俺はいつの間にか花造りに夢中になり、気付くと日付が変わり、外は明るくなっていた。