クローン人間の僕と人間の彼女

一週間後、俺は退院した。
速水海からの連絡を待つ…。

来るか来ないかは分からない。

でも、今の俺には待つ事しか出来ない。


「けんちゃんは銀行には行かないの?」

「あぁ、今待機中だから…。俺も手伝うよ」


俺はお袋がやっていた内職の花造りを手伝う。
こんなカッタルイ作業を、お袋は毎日カサカサになった手でやっているのか…。


「ありがとう。で、いつまで待機なの?」

「さぁ…」

「?」

「長くても1ケ月かなぁ」

「…そう」


お袋は不思議そうな顔をしながら、花造りを続ける。


ーピンポン


もしかして…。
速水海か?
俺は急いで玄関に向かう。


「はい」


ドアを開けると、近藤が怒った顔をして立っていた…。


「何だ…」

「おい、何だはねぇだろ?」

「あっ、ごめんごめん」

「とりあえず上がるぞ」


近藤はそのまま家に上がり込んで、リビングに座りタバコに火を付けた。


「はぁ…」

「どうした?」

「いい土地を見付けたんだ。けどよぉ…」

「…けど?」

「そこのババァが何だか分かんねぇけど、いくら金を積んでも手放さないって…。まぁ、そんな金もねぇけど」