クローン人間の僕と人間の彼女

俺も功太もケガが治った頃、会社創立に向けて走り回った。

まずは融資だ。


「お願いします!必ず成功させるんで」

「そうは言ってもね…。融資を求めてる人は沢山居るんだよ?それでクローンの方を優先させると、上が煩いんだ。とにかくうちは無理だよ」

「でも…代表はクローンじゃないんです。近藤さんって言って…」

「あぁ…。彼も来たよ。彼ね、殺人を犯してるだろ?うちは無理だから、帰って下さい」


何処を回っても、言われる事は同じだった…。

何も進まないまま、時間だけが過ぎ、気が付けば春になっていた…


俺の病気は医者が言っていた通りに発症を繰り返し、その度に入院と退院を繰り返す…。

俺の収入も無く、お袋は生活を切り詰めながら内職を始めていた。


「よっ、元気か?」


功太は毎日の様に顔を出す。


「元気な訳ないだろ?入院してたんだから…」

「そうだったな。いつ退院だよ?」

「来週。会社の方はどうだ?」


功太はションボリして、首を横に振った。


「近藤さんがさ、いい加減イラついてるみたいでさ、この前、銀行で叫んで連れ出されてたよ」

「…そうか」

「まっ、地道にやろうぜ?」