クローン人間の僕と人間の彼女

「ちっ、血が付いちまった…。汚ねぇな」


井上は不機嫌そうな顔をして、暴行を続けた。


「早く帰れよ!移っちまうだろ?病気がっ!!」


そう言って、俺の顔に最後に一発…蹴りを入れた。


身体中が痛い。
痛くて起き上がれない…

その時俺の目の前に、一本の手が差し出された


「おいっ!何やってんだよ?」


顔を上げると、そこには大林が立っていて、怒鳴りつける井上を凄い目で睨みつけて、俺に言った。


「…立てるか?」

「は…い…」


俺は大林に肩を借り、ゆっくりと歩きながらB4を後にする。


「…大林さん…ありがとう…ございます…」

「いいよ、無理に喋らなくて。痛いだろ?」

「…でも…何で?」

「俺は嫌いなんだ。こういうのが。全く…下らねぇよな…」

「…こんな…事して…大丈夫な…んですか…?」

「大丈夫だ。俺は人間だからな。いっくら奴らでも、下手に手を出せないんだよ」


そう言って大林は、少し寂しそうに笑った…。

そして俺と大林は黙ったまま、いつもの倍以上の時間をかけて、やっと駐車場に着くと、俺は車に乗り込んだ。


「もう二度と会う事ねぇだろうけど、頑張れよ!」