クローン人間の僕と人間の彼女

この事が警察に分かったら、俺だけじゃなく功太も…いや、全てのクローンが助かるのか?


「実は会社で…」

「会社で?」


俺は会社で起こっている全ての事を医者に話した。


「分かりました。警察の方に連絡を入れましょう」

「お願いします」


俺は少しホッとした。
キツイ仕事はともかく、虐待だけでも無くなれば大分楽になれる。

こんな俺達でも、ちゃんと法に守られているんだ。

退院後、憂鬱だと思っていた会社も、少し待ち遠しいくらいだ。



でも現実は違っていた…。




俺は退院後、すぐ会社に復活した。

功太の顔も少し懐かしい。


「…何か変わった事はあったか?」

「いや、建設会社も銀行も全然でさ」

「そうじゃなくて、会社だよ」

「相変わらずだよ」

「そっかぁ…」


警察はまだ動いていないのか…。

職場に着くと、目をギラギラさせながら監視役が言った。


「よう、森本!久し振りだな。休んだ分、しっかり働いて貰うぜ」

「……」

「返事をしろよ!!」


久し振りに、監視役の一発が俺の腹に入る。


「はいっ…」

「それでいいんだ。病気だからって甘えんなよ?」