クローン人間の僕と人間の彼女

それから数日が経ち


「これじゃあ、会社創立は無理だな…」


そう言って近藤は肩を落とす。


「そんなに焦らないで、地道に行きましょうよ」

「…俺は一日も早くクローンを助けたいんだっ…。なのに、融資してくれる銀行処か、建設会社も土地も見付からねぇ…」

「……」

見付からない理由は分かってる。
創立しようとしている会社が


”クローンの為”


の会社だからだ。
申請する時、クローンの予定雇用人数等を書かされる。

クローンに対する人間の偏見は、まだまだ強い。


「クローンの予定雇用人数を減らして、会社創立したらクローンをいっぱいい雇えばいいじゃないですかっ!」


得意気な顔をして功太が言った。


「バカ、そんな事したら会社を潰されるよ」


呆れ顔で近藤が返す。


「……。まぁ、気持ちだけ焦っても仕方ないし、こうなったら何度も頭を下げに行くしかないですね」

「…そうだな。俺にもっと力があればな…」

「でも近藤さんには感謝してますよ。俺達に夢を与えてくれて」

「バカ、これは夢じゃない。現実にするんだっ!」


近藤は力強く言った。