クローン人間の僕と人間の彼女

「俺は居ないと思って勝手にやってて。休憩も適当に取っていいから」


大林はそう言って、寝てしまった…。


何だ?コイツ…。


そう言えば大林には、殴られた事はない。
監視役といっても、ただ居るだけの奴だ。
だからといって、クローンを庇ったりするような奴でもない…。


俺達は黙々と掃除を続け、仕事が終わる時間になっても、大林は寝ていた。


「大林さん、勤務時間が終わったんで帰ってもいいでしょうか?」

「…ん?もうそんな時間か?帰っていいよ」


帰ろうとした瞬間、俺と功太だけ呼び止められた…。


「お前ら、最近近藤とつるんでねぇの?」

「…はい」

「ふ~ん…。クローンを殺したからか?」

「……」


俺と功太は何も言えなかった。


「アイツに殺した理由を聞いた?」

「…いいえ」

「だろうな…。アイツは言わないだろうから教えてやるよ」

「……」

「アイツの弟は クローンでよ、このB4で働いていたんだ。アイツはエリート会社に勤務してて、ここの状態を知り、弟を助けようとした。でも無理だった…。弟が頼んだんだよ、近藤に。俺を殺してくれって……」

「…何で近藤さんはこの会社に?」