クローン人間の僕と人間の彼女

”アイツ、クローンを殺してるんだよ”


監視役の言葉が、頭の中でコダマする…。


「嘘だっ!」

「本当だ。近藤は弟のクローンを殺したんだぜ?刑務所から出来て、行く当ての無いアイツを社長が拾ってくれたんだ」

「……」

「まぁ、刑務所って言っても、殺したのは身内のクローンだから、たった一年で出て来たけどな」

「……」

「嘘だと思うなら、近藤に聞いてみろよ?」


俺も功太も呆然としていた。

近藤が会社を立ち上げるのは、ここを辞めると仕事が無いからなのか?







俺達は利用されているだけなんだ……。



「おら、お前ら、話は終わったんだ!さっさと働け!」


俺達は急激に重くなった足を引きずって、仕事に戻る。

悔しかった…。

近藤を…人間を信じて浮かれていた俺が悔しかった。

バカみたいだ…。




短期間で作り上げた薄い信頼関係は、いとも簡単に崩れかけ…


俺も功太も、少しずつ近藤を避けるようになった。


「なぁ、久々に行かね?」

「そうだな」


久し振りに街に繰り出し、人間の女を引っかける。

でも…。


「どうした?声掛けねぇの?」

「やっぱ俺、今日は帰るわ…」