クローン人間の僕と人間の彼女

近藤と別れた後、功太が俺に言った。


「なぁ…。あの人の事、信じていいの?」

「…何で?」

「話が上手すぎるって言うか…。大体何で人間が、クローンの味方をすんの?」

「近藤さんも、クローンの弟が居たとか言ってたから、それでじゃね?」

「…それだけだろ?あの人なら会社を立ち上げなくても、普通にやっていけるだろ?

「でも、凄く良くして貰ったぜ…?」

「まぁ、俺は健治があの人に着いて行くなら、着いて行くよ」

「あぁ」


歯切れの悪い功太の言葉に、俺は少しの不安を覚えた。


俺は近藤の事を殆ど知らない…。


会社を立ち上げる希望を持った今、俺の余命は後4年だ。


「ただいま」


静まり返る家。
お袋は居ないのか?

俺はお風呂に入り、タオルを巻いて出る。
するとお袋が居て、俺に言った。


「ごめんね、味醂を切らしてて今買って来たの。すぐご飯の用をするか…」


お袋は言葉を失い、視線は俺の身体にあった…。


「…どうしたの?その痣…」

「何でもないよ…」

「何でもないって、そんな…」

「後一年」

「えっ?」

「後一年したら…会社を立ち上げるんだ」

「会社?」