クローン人間の僕と人間の彼女

それでも社会に出ると俺達を見る人間の目は、相変わらず厳しい。

労働と給料が見合わない仕事は、一秒でも休むと殴る蹴るの暴行を受け、俺の身体も、功太の身体も、日を追うごとに痣が増えていった。

そんなある日、仕事帰りの駐車場で近藤が待っていた。


「ようっ」

「どうも…」

「ちょっと話さないか?」


近藤の事を何も知らない功太が、ビクついた顔をして近藤を見る。


「…人間不信?にもなるよな…」


溜息を吐くように近藤が言う。


「前の現場の上司の近藤さんだよ。いい人だから」


功太は安心した顔をして、ペコリと近藤に頭を下げた。


「ここじゃなんだから、ゆっくり話せるとこ行かね?友達も一緒でいいよ」


俺と功太と近藤の三人で、会社から大分離れたレストランに入る。


「悪かったな…。俺のせいで…」

「いや、近藤さんのせいじゃなくて、最初から決まってたみたいだから…」

「何だそれ?」


功太が事情を話す。


「アイツらは本当に糞だな!まぁいいや。俺には考えてる事があるんだ。お前ら後一年、頑張れるか?」

「…一年?」


俺と功太は顔を見合わせた後言った。

「他じゃ雇って貰えないし、そのつもりです…」