クローン人間の僕と人間の彼女

「お疲れ~」

「お疲れ」


仕事を終え、いつもはクタクタの俺達も今日は元気だ。

俺と功太の手は、生まれて初めて貰った給料袋を握りしめている。

車に乗り込んだ俺達は、急いで給料袋を開けた。


「……」

「……」


車の中は、さっきとは違う重い沈黙が流れた。


「…なぁ、健治、いくら入ってる?」

「…10万。功太は?」

「同じ…」

「ハハハッ」


いきなり功太が笑い出し、俺も一緒になって笑った。


何故かって?


笑うしかなかったからさ。


開き直るしかない。
でも、その裏には虚しさしかなかった…。


週6日、1日9時間、休憩無しで働いて稼いだ、たった10万の給料を持って俺と功太はデパートへ向かった。

後どれくらい一緒に過ごせるか分からない、両親へのプレゼントを買いに…。

生まれて初めて親孝行だ。

何を買っていいか分からなかった俺は、親父に帽子を。
お袋には花柄のスカーフを買った。

功太も何か買い、功太を家まで送り届けると、俺は急いで病院に向かった。


両親はのプレゼントが入った手提げ袋をぶら下げ、少し照れ臭い気持ちを隠しながら、いつもの様に病室へ向かうと、病室から急いで出て来るお袋の姿が目に入った。