クローン人間の僕と人間の彼女

そんな俺達の気持ちとはお構いなしに、当たり前の様に毎日はやって来る。

辛い仕事に功太は耐え、俺も休む事無く仕事に行き、親父の余命も後1ケ月になっていた。


「今日は新しい仕事を教えるから、こっちに来いよ」


近藤は俺の担当の今岡を無視して、少しずつ新しい仕事を教えてくれる。

今岡は、それが気に入らないような顔をしていた。


「今岡さん、怒ってるみたいだけどいいんですか?」

「……。お前はB4には行きたくないだろ?」

「……」

「だったら1つでも多く、他の奴らより仕事を覚えるんだ」

「1つでも多く?」

「あぁ。ここで絶対的必要な人間になれ。そして、クローンの奴らを助けるんだ。俺とお前でな」


近藤はそう言って笑った。


「何でそんなにクローンに親切なんですか?」

「……俺の弟もクローンで、ここで働いていた」

「今はここには居ないんですか?」

「……」


近藤は厳しい顔をし、何も答えないまま仕事を教えてくれた。

その時、今岡が俺の方に向かって来て言った。


「森本君、親父さんが倒れたそうだ」

「……親父…が?」

「まだ仕事は終わってない。行くなら仕事が終わってからだ」