クローン人間の僕と人間の彼女

4、5人の監視役らしき男が、ムチみたいな物を持ち、10人くらいの男が、汗だくになって重そうな荷物を運んでいる。


荷物を運ぶ男が少しでも休むと、ムチは容赦なく振り降ろされる…。


「辞めるなら辞めていいんだぞ?お前らなんか他で雇って貰えないだろうけどな!」


そう言って監視役の男達は大笑いしていた…。

そして、汗だくになって働く男達の中に、功太の姿があった…。

俺は呆然と立ち尽くし、近藤はそっとドアを閉める。


「行くぞ」

「……」

「これが現実だ。解るか?」

「…近藤さんは、人間ですか?」

「そうだよ。あそこ以外で働く奴は殆どが人間だ」

「…何でクローンだけあんな目に…」

「……クローンだからだよ。元々は人間の社会だ。人間と造られたクローン。キツイ仕事をさせるなら、どっちか分かるだろ?」

「…でも、クローンは親に必要とされて生まれて来たんです!」

「……。親にな。社会ではただの造られた人間だ」

「……」

「お前もクローンだろ?友達はいいのか?」

「…どうすればいいんですか?」

「…自分で考えるんだな。仕事に戻るぞ」