クローン人間の僕と人間の彼女

「雇って貰っている以上、いい加減な事をしたらダメだぞ」

「あぁ…」


帰らされたなんて、言える訳がない……。


「大体、近頃の若い者はなぁ…」

「あなた、もういいわよ。けんちゃんだって、頑張ってるんだから…」

「そうだったな。健治、すぐ辞めるような事だけは、絶対にするなよ」

「…分かってるよ」


それ以来、親父は釣りに行く事もなく、毎日家に居て、本当に病気なのか?というくらい元気だ。

でも、ある日お袋が俺に教えてくれた。


親父の余命は後3ケ月だと…。


親父やお袋が何故俺を造ったのか、解った気がした。






「行って来ます」


俺を見送る お袋と親父は、本当に嬉しそうだった。

功太と合流すると、功太の元気が無い事に気付いた。


「何かあったか?」

「いや…。健治の職場はどう?」

「一人嫌な奴がいるくらいだな」

「…それだけ?」

「あぁ。そう言えば、B4って何なんだ?」

「……。知らねぇ!」


功太はムカついた顔をして、黙り込んだ。


「頑張って出世しような!」

「…出世なんかねぇよ」

「……」


会社に着き、俺達は気まずいまま、それぞれの職場に向かう。