クローン人間の僕と人間の彼女

「す、すみませんっ」


俺は思いきり頭を下げた。


「…こんな簡単な作業も出来ないのか?」

「いえっ」


今岡は大きなく溜息を吐いて言った。


「帰っていいよ」

「すみませんっ!ちゃんとやるんで、どうか…」

「ちゃんと集中しろよ。お前、何かあったの?」

「何もありません…」


親父の事は言いたくなかった。
仕事のミスを、親父のせいにはしたくない。


「……今日は帰れ。お前がそんな態度で仕事をしてたら、他の奴らが迷惑なんだよ」

「…はい」


この様子を見ていた、近藤が言った。


「楽な所に配属されて、いい気なもんだよなぁ…」

「俺の事は放っといてくれよっ!」


何も知らない癖に…。

俺の周りをうろつきやがって、アイツは何なんだよ?!

俺の何が気に入らないんだ?

俺が何をしたって言うんだ?

功太にメールを送り、俺は家に帰った。


「ただいま」

「けんちゃん、仕事はもう終わったの?お父さん、帰って来てるわよ」


お袋は嬉しそうに言った。

部屋に入ると、親父は何も無かったかのような顔をして、座っている。


「おお、健治。早かったな」

「…うん」