「ただいま」


家に帰った俺に、いつもの様に年老いたお袋は言う。


「お帰り、けんちゃん。身体の調子はどう?」

「全然平気だよ。後5年もあるだろ?毎日毎日聞くなよ」

「だって、あんな辛い思いはもう……」


そしてお袋は泣いた。


こんな生活は、もうウンザリだ


それに俺は体調が悪くなっても、言うつもりはない


こんな生活が後5年も続くのか?


未来も無い。
夢も希望も無く、ただ生かされている。


人間のエゴ



俺は人間が大嫌いだ





夜になると俺は悪友の功太と夜の街に繰り出す。


「健治、今日も行くの?」

「あぁ、行くよ」

「お前も悪い奴だな」

「いいんだよ」


ターゲットは人間の女。


きらびやかな街を、着飾った女達は練り歩いていた。


「ねぇ、彼女。飲みに行かない?」


女二人組は相談する。


「奢ってくれるの?」

「当たり前じゃん」

「じゃあ、行ってもいいよ」


俺と功太は目で合図をし、いつものバーに女達と向かう。


「やぁ、いらっしゃい」

「マスター、いつものお願い」

「あぁ、いつものね」