クローン人間の僕と人間の彼女

「……」

「確かに今の腐体病を治す薬は見付かったけど…。先生は貴方を本当に治したかったのよ…」

「もう、いいんです…。あっ、どうでもいいとか、そういう意味じゃなくて…」

「何かあったり、辛かったりしたら、いつでもナースコールを押すのよ」


村山さんは俺を病室まで送ると、ニッコリと笑って出て行った。

俺はベッドに横になると、窓から外を眺めた。

親父やお袋も、こんな気持ちだったんだろうか…?


大切な奴を残して逝ってしまうやりきれない気持ち…。

俺は残された短い命を、どう生きるか考えた……。



答えは意外と簡単に見付かった。


決行は早い方がいい。
早い方が…。


そして功太に全てを話すと約束した日、俺は全てを話した。


「嘘…だろ?」

「本当だよ」


功太は呆然としている。


「だから、お前に頼みがあるんだ…」

「……」

「朋の事…お前が幸せにしてくれないか?」

「?!」

「朋の事が好きだろ?お前だったら、幸せにしてくれる気がするんだ」

「バカ言うなよ…」


功太泣きそうな顔をしていた。


「本気だよ。もうすぐ朋が来るから、頼むぞ!」


俺は功太の目を真っ直ぐに見て、功太の手をギュッと握り締めた。