クローン人間の僕と人間の彼女

「ふざけるな!アンタ言っただろ?俺を絶対死なさないって、あの時言ったじゃないか!!」


俺は自分を止められなかった。
世の中にはどうにもならない事がある。
医者は最善を尽くしたのも分かってる。


でも、この落胆は医者に当たる事しか出来ない…。


「俺、やっとなんだ!やっと幸せになれそうなんだよ!!」なぁ、俺の人生を奪わないでくれよぉ…俺を助けてくれよっ……」


喉が熱くなって、嗚咽を吐きながら訴える俺を見て医者は言った。


「すまない。本当に申し訳ないっ…」


何度も何度も謝って…
医者の目から涙が零れ落ちるのを見た時、
俺は医者を責めるのを止めた…。


医者が泣き、俺は村山さんに背中を擦られ、やっと落ち着いた時、俺は言った。


「でもさ、先生…。俺、ここに通い始めた頃、生きたくなかったんだ…。癌の痛みが無い内に治ったのも…生きる希望を持てたのも先生が居たからなんだよな…。ありがとうな…先生」


俺は村山さんに連れられ、病院に戻る時、村山さんが言った。


「腐体病のね、注射の薬を作ったのは、大西先生なのよ…」

「…えっ?」

「健二くんが腐体病になった時、大西先生は何も出来なくてね…。それからずっと時間を見付けては、腐体病を治す研究をしていたの」