クローン人間の僕と人間の彼女

それから毎日注射を打たれ、治療は続けられた。

でも俺は何となく気付いてた。
注射は効いてないと…。

注射による副作用も無ければ、紫がかった肌も薄くなる処か、少しずつ濃くなっている気がしていた。

だから俺は、朋や功太がお見舞いに来ても、村山さんに頼んで、外出している振りをしたり、布団を頭の上から被って寝たふりをしていた。


そして、あの腐体病の診断をされてから1週間が経った。

俺は覚悟はしていたけど、心の奥で少し期待していたんだ。


”大丈夫です。良くなってますよ”


そう言われるのを…。


俺は診察室に呼ばれた。

治るなら、わざわざこんな所に呼び出さないだろう…。

でも、俺は必死にそれを否定する。

頭の中で葛藤を続けていると、医者が言った。


「…改善は…みられません」


”改善はみられません”


その言葉は、
俺の死を意味する…。

俺は歯を食いしばり、目から熱い涙が零れ落ちるのが分かった…。


「何で…ですか…?」


医者は暗い顔をして言った。


「型が合わなかった…」


俺は血の気が引き、怒りだけが込み上げて来る……。