クローン人間の僕と人間の彼女

「健治、どうしたの?ボンヤリして」

「いや、何でも無いよ…」

「ちょっと顔色も悪いみたいだし」

「やめろよっ!」


俺に顔を近付ける朋に、俺は怒鳴ってしまった。


薄く紫がかった、この肌を、
朋に見られたくないんだ…。

泣きそうになる朋の顔に気付いて、胸が痛んだ…


「ごめん、ごめん」

「何か今日の健治変だよ…。私…今日は帰るね」


朋が病室を出て行く時、功太がドアの所に立っている事に気付いた。


「追い掛けないのか?」

「…いいんだ」


俺は両手で頭を抱えた。


「どうした?退院も近いのにそんな顔して…」


俺は大きく溜息を吐くと、功太に言った。


「…退院出来るか分からなくなった…」

「……?どういう事だ?」

「…後5日待ってくれ。そしたらお前に話すから…」

「あぁ…」

「それから今日は帰ってくれないか…?朋には何も言わないで…今日聞いた事は聞かなかった事にしてくれよ…」

「あぁ。じゃあ、明日も来ない方がいいのか?」

「…来てくれよ」

「ったく、我儘な奴だな」


功太は笑いながら帰って行った。