クローン人間の僕と人間の彼女

「本当ですか…?」

「今回打つ○○という注射は、今現代の腐体病のどの型にも合う。○○を打って1週間様子を見てみましょう」


ニッコリ笑って、注射の準備を指示した医者に聞いた。


「腐体病って…?」

「名前のまんま…。身体が腐っていく病気だよ。ただ厄介なのが、注射が効かないと治らない所だ。移植を繰り返しても、全部腐ってしまうんだ」

「健二の時も最後はそれで…?」

「…彼の場合はそれ以前に癌の転移が酷くてね…。それに当時は病名すら無かったんだ…。治療法が見付かったら今でもこの病気は世の中に余り知られていない…」


俺は不安になった…。
言葉も出ない。

注射を打ちながら医者が言った。


「まぁ、1週間様子をみましょう」

「……」




健二が死んだ時、何故伊集院が会わせて貰えなかったのか、分かった気がした。

健二の身体は腐って、とても見せられる状態じゃなかったんだ…。


あの健二の病気のノートも…。
あの黒いページは、腐体病の事だったんだ。


注射が効かなければ俺は死ぬ…。


腐っていくんだ…。




俺は恐怖とショックで気が狂いそうになった……。