クローン人間の僕と人間の彼女

俺は朋から数珠を貰うと、俺の左の手首に付けた。


「左手出して?」


そして、朋の左手首に俺の数珠を付ける。


「暫くはそれで我慢してな?」


朋が黙ったまま頷くと、功太が言った。


「おい、俺の出番がないじゃないか…」

「あっ、わりぃ!」

「せっかく牧師の練習したのに…」


功太は膨れっ面をして、三人で笑った。


「けど、おめでとう!」

「ありがとう」




俺はこの日も事を生涯忘れない。

そう思っていた。

この日が俺の人生の中で、最後の幸せだったとは知らずに……。