クローン人間の僕と人間の彼女

「いいよ」


俺の言葉に功太が黙った。
俺は功太を真っ直ぐに見て言う。


「もし、俺が死んだら朋の事はお前に頼むよ」

「…死ぬつもりはない癖に」

「当たり前だろ?」

「当たり前だ。じゃあ俺、朋ちゃんが帰って来る前に帰るわ」

「功太っ!」

「……?」

「ありがとな」

「バーカ」


功太が帰ると、俺は仏壇の前に座った。

親父、お袋…。
ありがとな。
今度の入院で、この闘病生活朋おさらばだ。

俺、頑張るから。
見守っててくれよ……?


ー翌日


俺は最後の入院をした。

この入院が最後になると思うと、少し寂しい気もするけど


「明日の手術で終わるんだね」


朋が穏やかな顔で言った。


「あぁ…。長かったな…」

「でも良かった。手術の度心配だったんだから…」

「もう大丈夫だよ…。これで最後だ」


そう言って俺は窓の外を眺めていた。

もうすぐ夏か…。

季節を感じる余裕もないくらい、突っ走って来たからな…。


「私、そろそろ行くね!」

「……?」

「署名活動!明日はずっと一緒に居るから」