クローン人間の僕と人間の彼女

お婆ちゃんはそのまま話を続けた。


「人間が人間を造るなんて馬鹿げてる。アンタが悪いんじゃあないよ?政府がクローンを認めなきゃ、うちの息子達もずっと一緒に暮らせてただろうに…何処で何をやってるんだかねぇ…」


お婆ちゃんは寂しそうに笑った。


「早く帰って来るといいね」

「…ありがとね。アンタも早く元気な姿を見せておくれよ?」

「うん。あっ、俺そろそろ行かないと…」

「今日は早いんだねぇ?」

「婚姻届けを取りに行くんだ!」

「あの子とかい?」

「あぁ。今度の手術が無事終わったらね!」


俺はお婆ちゃんに別れを告げると、役所へと急ぎ、婚姻届けを貰った。

家に帰ると功太が早退で家に来て、明後日のサプライズ作戦の準備をした。


「よし、これでいいよな?」


俺は婚約届けの自分が記入する所に、サインと捺印をし、証人の所は功太に書いて貰った。
後一人の証人は、伊集院になって貰うつもりだ。

婚姻届けと小さなベールを紙袋に入れると、功太に渡した。


「…指輪は?」

「間に合わなかったんだ。退院したらすぐに渡すよ」

「おいっ。だらしないなぁ…。そんな事してたら、俺が朋ちゃん奪うからな!」