クローン人間の僕と人間の彼女

そして俺は無事退院した。

これから一ケ月、俺はやらないといけない事が沢山ある。


署名活動と…
朋とのミニ結婚式の準備。
会社復活に向けて、顔を出さないといけない。


小さな不安は、大きな希望が押し潰してくれた。

署名活動に行くと、お婆ちゃんがおにぎりを持って笑顔で迎えてくれた。


街の人も、声を掛けてくれたり、手を振ってくれたりした。


会社に出ると、皆が笑顔で集まってくれる。


そして、家に帰ると朋が居る。


俺は幸せの絶頂だった。


あっと言う間に一ケ月は流れ、俺は入院する前の日におにぎりのお婆ちゃんと話した。


「又、入院するのかい?」


心配そうな顔をするお婆ちゃんに言った。


「大丈夫だよ。これが最後の入院だから」

「そうかい。何の病気なんだい?」


俺は今迄の事を全てお婆ちゃんに話した。


「大変だったんだねぇ…。アタシの息子と嫁は、子供を失ってねぇ…クローンの子供を作るって言うもんだから、アタシは反対したんだよ。子供がアンタみたいな人生になると思ってねぇ。それから出て行ってそれっきりさ…」